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心理的両性具有について

男性性と女性性の発達について、知り得ていることを書く。


社会には性役割というものがある。所謂男性らしさ、女性らしさというもの。

一般的な発達課題では、自我同一性の獲得のなかに、性同一性と性役割の獲得も含まれる。

権威(性役割)受容型か、クロスセックスタイプか、心理的両性具有(アンドロジニー)タイプと分類される。


ユング心理学では、両性具有(アンドロジニー)を目指す。

以下にユング心理学の発達理論を示す。

男性の場合。母子一体の段階が最初で、肉体的で原始的な強さや、思考的で合理的な強さや閃きを鍛え、太母を殺して自我確立する。

男性における女性性(アニマ)の発達について。最初は女性であれば誰でも良い(生物学的段階)。それから一人の女性を守って愛するようになる(ロマンチックな段階)。さらに進むと人間でないマリア様のような女性性を獲得する(霊的段階)。最終的に男性的な強さが統合された女性性が獲得される(叡智的段階)。

自身の女性性が外界の女性に投影されるので、女性と交流を持つことは男性においては女性性の発達と並行して生じることが多い。最終的には男性は女性的な包容力を得て両性具有(アンドロジニー)に向かう。


女性の場合。女性も母子一体の段階から始まる。父親を通して世界に導かれ自己投機していく。小人(未分化な男性性)の力を借りて性(社会的)役割を達成する。それから母(bad mother)によって死と再生のモチーフから男性性の獲得に進み、自立を果たす。

女性における男性性(アニムス)の発達について。男性性を意識の光のもとで真の姿を見ることから始まる。男性性の最初は肉体的な強さ。次に行為や行動力。さらに進むと言葉や意見の発言力。最終的に意味(meaning)を認識する力を獲得する。

自身の男性性(アニムス)が外界の男性に投影されるので、男性を獲得することと心理的な男性性の獲得が並行する側面がある。最終的には女性は男性的な実行力を得て女性としての意味を受容する。


アニマ(女性性)やアニムス(男性性)とペルソナ(外面的人格)の同一化の危険性について。

アニマやアニムスがペルソナと同一化した場合、男性は感情的な弱さや脆さが前面に出て合理性を失う。女性は男性的な思考や行動力の強さで女性性(感情や身体)が虐げられる。

従って、適切な、ある程度の同一性ある自分らしいペルソナ(仮面や服)を選び身につける必要がある。


心理機能で見ると、思考能力に頼り過ぎると感情が抑え付けられてしまい、現実的な適応を急ぎ過ぎると内的な精神性が抑え付けられてしまう傾向がある。

感情的なことを最優先すると合理性が失われ、可能性ばかり追い求めると現実的な感覚を忘れがちになる。

従って、対人関係や、お酒や祭り、夢や芸術などの補償作用を使って、適当に取り入れ制御する経験知を積み重ねるとともに、「自制」して男性性と女性性のバランスを身につける必要がある。


女性の場合に限り、出産と育児に際して母親に再接近することは重要な意味を持つ。自身の身体イメージや自己受容感と関係しているため。


男性は女性的な情緒面と包容力を開発して父性で締める。女性は男性的な論理面と実行力を開発して母性で受けることで、両性具有(アンドロジニー)への道が開ける。


西洋の自我確立の道を進むなら、両価性を引き受けて両性具有となることを目指さなければならない。心理的両性具有が個性化(individuation)のかたちとして到達点となる。

以上がユング心理学における男性性と女性性の発達理論となる。



ユング心理学は、一定の分析と見立てを示してくれるものではあるが、哲学を与えてくれるものではない。

性別(sex)が「生(life)」の価値を示すものではない。


「私」の哲学を取り戻して、結論とする。

自由意志があるから、いつでも過去は捨てられる。

いつだって自分であることだけが、世界を繋ぎとめる(real self)。

様々な意志が、個性化した「私」と世界を創っていく。

これからは性に囚われず世界を生き、知っていきたいと思う。